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1.日本の酪農の歴史

< 飛鳥時代>
乳製品が珍重され、宮廷に献上するため極一部で牛が飼われていたようだ。戦などで途絶えたが、江戸時代になり、徳川8代徳川吉宗が白牛3頭を輸入している。

<明治時代>
22年、千葉県嶺岡にホルスタインを初めて国内に輸入。日本各地で徐々に浸透。根室では1902年(明治35年)、東梅牧場が国内初の近代経営。

<昭和時代>
1933年(昭和8年)、 国は農業開発5カ年計画を進める。 ※この頃までは、牛の頭数も少なく、日中は牧草地に放たれるため、自然と糞尿は草地に還元され、また夜間牛舎内に溜まった糞は、完全堆肥にし、他の畑にも還元していた。=自然に近い循環が成り立っていた。

1954年(昭和29年) 酪農振興法成立

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1956年、国の計画で近代的な機械を導入するパイロットファームを根釧の別海町(旧別海村)で進め、1966年までに約350戸が入植。(当初一農家あたり約15ヘクタールに対し乳牛頭数約10頭、豚2頭、鶏10羽ほか羊も)入植時の借金があり、経営を安定するだけの土地が与えられず、経営破たんし離農する農家も多かった。残る農家は離農した土地を買い取る事で何とか経営を安定させてきた。
?→なぜ農家を辞めなければならなかったのか。何の為の酪農振興法だったのか。躍らされていたという事か。
誰に?1961年(昭和36年)農業基本法制定農業従事者の他産業従事者との収入格差是正を図るため、農業基本法が制定された。それにより国は機械化する農家には補助金を出すようになり、規模を拡大する動きが広がった。※世の中は好景気で、収入を増やし生活水準を高めようという国民総中流を目指す時期でもあった。

1973年(昭和48年)~1983年(昭和58年)新酪農村建設事業。1農家あたり約50ヘクタール約70頭。サイロが特徴的。

<平成時代>
1995年(平成7年)国は、今後の消費の拡大が見込まれるとして2005年を目標にした『酪農畜産の近代化基本方針』を発表し、農家にも積極的な生産拡大を促した。それにより、生産量だけに特化した農業政策に農業は翻弄される。且つ生産過剰により、乳価が低迷。規模を大きくする毎に多額の出資 (=国の補助金と借金)

●返済計画は、牛を増やすだけではなく穀物も多く与える事。
・乳量は増えるが、牛に負担が掛かる。


・更に、草地に対する牛の割合が増す事で、垂れ流した糞尿による地下水汚染川や海洋汚染の問題が生じる。
→糞尿処理にお金をかけなければならない。
→田畑や牧場草地に化学肥料を使う。過剰に窒素を投入すると光合成でアミノ酸に変換されずに硝酸態窒素が残り、またアルミニウムも溶け出す。
→土壌の生態系が変わる。微生物も少なくなる。(※ここが重大)

■土壌を壊すと、牛の健康、人の健康のみならず、自然界様々に影響していく。

●結局、借金をしてまで規模を大きくする事に何のメリットもない訳である。

2.現在行われている糞尿処理

  1. 通常の糞尿対策
    • 小規模農場であれば、糞と尿を別々に自分の草地に還元できる。
    • 大型の農場では草地面積に対して許容量を超える。
      →地下水、川、海の汚染の問題が生じる。
      対策=おがくずなどを混ぜて堆肥化
      →設備・人件費・流通にコストが掛かる。余った堆肥の販売先を安定化させなくてはならない。
  2. バイオマスエネルギーの活用につい
    家畜の糞尿の場合~有機廃棄物を混合しメタン発酵させ、メタンガスとして気体燃料になる。(電気や熱として活用)
    現在それを活用している所もあるが、その工程で残ったもの(=液肥)はどうしているのか。
    ※液肥(消化液とも呼ぶ)は雑草が生えにくいとして農地や牧草地に撒いているところもある。(雑草が生えなくなる事を単に喜んで良いのか?)
    ※農林中金総合研究所のホームページでの資料では液肥の事を、ガス抜きした家畜の糞尿は無機化するために作物にやさしい、と記されているが、農業研究機構での調査では、亜硝酸窒素の発生割合が高く、農地で利用すると、地球温暖化を助長すると結論付けている。 土壌のバランスを崩す事が懸念される。

3.生産形態による牛乳の違い

  1. 草地更新をしていない牧草地で放牧された牛の乳
    土の中に微生物がたくさん存在し、良い草が生える。牛がそれを食べるので自然の乳→質の良い乳製品が作れる。
  2. 穀物を大量に摂取する牛の乳
    胃に負担がかかり、働きが弱まる。→病気を引き起こしやすくなる。

4.市乳の生産過程による牛乳の違い

  • 超高温殺菌乳(120~130℃殺菌)2~3秒と短時間で大量に殺菌できる。味が濃くておいしいというのは、そう慣らされてきたからで、実は殺菌中の高温で焦げた臭いもする。
  • 低温殺菌(63℃~65℃殺菌)30分と時間がかかるが、ほのかな甘さと風味が良く、喉ごしなめらか。

5.日本の牛乳(乳)の生産過程

北海道の例

  • 多くはホクレン農協組合連合会が農家から買い取り、乳業会社に売られる。(1元集荷多元販売)
  • 釧路市大楽毛によつ葉乳業の工場があるが、ここは十勝工場とは違い、大型のタンク2基があるのみで、化学肥料使用や遺伝子組み換えの穀物を牛に与えているか否かに関わらず、混合で製造される。
  • 良質の牛乳を生産している小規模農家にとっては、独自の市乳製造が悲願であるが、工場を別途造るとなると多額の費用がかかる事に加え、家族経営では販路の事を考えると、消費者の協力なしには容易に達成できないのも事実である。

apple4~SDGsの実践は30年前よりすでに行われていた!

1.マイペース酪農の交流会のはじまり

  •  別海町では、1991年より以前から、「労農学習会」「酪農技術研究会」「別海と酪農の未来を考える会」等、農民が無理なく酪農を営んでいける道を模索し、学習を続けてきていた。その年、中標津の元酪農家三友盛行さんを講師に招いた事から、「1ヘクタールに牛1頭が適正規模」が理想とする考え方に共鳴し、三友さんを中心に学びをするようになった。「マイペース酪農交流会」との名称で毎月集い、その内容をさらに会員に通信で届けるなど誌友会員も各地に広がり、活発に学び合っている。酪農大学の佐々木章晴教授もたびたび別海を訪れ、土壌の研究をされてきているが、通信を読むと、草地更新の事や、窒素が多く含まれる化学肥料や堆肥の入れ過ぎの問題など提言している。これからの気候変動にも強い畑や牧草地に欠かせないものは、地中の微生物の働きのようだ。

2「21世紀モデル」掲げるマイペース酪農

「マイペース酪農」は、国の政策に振り回されない、自分たちのペースで酪農経営をし、土・牛・自分たちの健やかなくらし考えた、本来の牛飼いの仕事をしようと学び合っている。

  1. 適正規模を「牧草1ヘクタールに牛1頭」とする健全で安定的な酪農経営。糞尿問題は発生しない。処理に多額のお金を掛けずに済む。ストレスのない健康な牛群となる。⇒牛に負担をかけない放牧中心の経営は、エサ代も少ない。⇒草地更新をしない事でも経費が減る。実際年間の収入は、300頭飼育している農家と30頭飼育している農家とではそう変わりはなく、家庭菜園や家族との時間に費やせる余暇もあり、家族農業はくらしが豊かと感じるのである。
  2. 土・草牛の食生活を考える。土の中の微生物がしっかり働く環境にする。微生物がしっかり働いている根から育った草を、牛が食べる。
    ※人間が1万年前からチーズを大切に食べ続けて来たのは、こういう命の循環があったから。
    ※酪農の酪という字は西へんで、発酵を意味するとも言われています。人間はこうして長い間、発酵したものを取り入れ補って来たのです。けれども、今では十分発酵させたかの様な商品が数多く出回っています。それも遺伝子組み換そのコーンや大豆を原料に。これも大きな問題です。今後はさらにゲノム編集された食品も知らないうちに店頭に並ぶでしょう。どうやって身を守れるのでしょうか。

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1.アニマルウェルフェアとは

  • アニマルウェルフェア(家畜福祉もしくは動物福祉)は、日本の畜産の大型化、企業化への警鐘と言えます。畜産の大型化、大規模化は畜産を安価な穀物を与えて高価な畜産物(肉・卵・乳)を生産する、畜産加工業と化してしまっています。犠牲になるのは家畜たちです。

2.アニマルウェルフェアの考え方

  • アニマルウェルフェアの考え方は、そうした家畜を苦痛から解放し、命ある個体として認識管理するという、特に西欧から始まった考え方です。規模拡大の歯止めにもなります。

3.鶏卵業界の恐れ

  • 鶏卵業界はこの考え方が広まる事を恐れ、農水大臣に賄賂を提供していたことが発覚し起訴され、裁判となっています。思わぬ形でアニマルウェルフェアという考え方や活動が知られることになりました。
  • 世界は、家族農業、小農、有機農業、そしてアニマルウェルフェア、さらには、地域での食料生産の重要性を訴え、来るべき食料危機に準備しています。しかしながら日本の食料自給率は37%です。
    農政のあり方は、いまだに目先の生産量と収入ばかりを求める短絡的なものに映ります。SDGsの取り組みに世界が動き始めている中、ようやく有機農業を促進させようと乗り出しましたが、政府は経済界との絡みもあり、また種子法廃止による農家の負担を考えると、今後どう展開するのか注視していかなければなりません。国民のためにある政策であって欲しいものです。

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1.農薬・化学肥料を減らしていく事

  • 先の日本の未来を考えると、もう規模を大きくしたから後戻り出来ないではなく、現時点から出来る事を見つけていく。また、その努力が求められている。~段階的に減らしていく事は可能である。

2.冷涼な土地でも自然栽培に取り組んでいる農家さん

  • 冷涼な土地でも自然栽培に取り組んでいる農家さんもある。しかしノウハウがないと実践はなかなか難しい。→無農薬で有機栽培を!完熟たい肥・適量)

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1. 「身土不二(しんどふじ)」

  • 人の体は、その土地の気候風土に影響するので、出来るだけその土地でとれたものを食べるのが健康に良いという考え方。

2.食事

  • 良質な食材や体を温める食べ物をとる。体温を上げる。また、からだを酸性化させない事は、免疫力を高めることにつながる。
  • 過食をしない(腹七分~八分)

3.適度な運動

4.きれいな空気吸う

  • 呼吸をする、森林浴等

apple3~食料危機問題や土壌環境汚染は日本でも直近の課題その為にわたしたちができる事は?

1.各家庭で出来る取り組み

  • 家庭菜園・花壇であっても農薬や除草剤を使用しない。環境に配慮したものを選ぶ。

2.地場農業を支える事が私たち自身を助ける事につながる

  • 安全安心な無農薬や有機農業に取り組み、良い環境づくりに努めている地元の農家さんを知る。
  • 地元の有機や無農薬の野菜や食料品をできるだけ選ぶ。子ども達の心身の健康のため、安心安全な食材での学校給食 実現に力を入れる。

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  1. 道内でも非遺伝子組み換えでない飼料や牛の健康を考えた飼育をしいる農家さんの低温殺菌牛乳が売られるようになってきた。アニマルウェルフェアや有機農業や家族農業は世界的な流れ。
  2. 地元で積極的に取り組んで行くためにも、放牧認証やアニマルウェルフェア認証や有機農業認証などを受けた酪農家さんの牛乳を買えるようにしたいですね。
  3. 牛乳は衛生管理が難しく、簡単には販売できません。また、よつ葉乳業十勝工場と違い、よつ葉乳業の大楽毛工場にはこれら牛乳を別途市乳にするタンクがありません。ではどういった策が講じられるでしょうか。
    1. 地域ごとに共同購入するシステムをつくれるか。
    2. 飲食店での利用を広められるか。
    3. 「生産者の顔の見える牛乳を買おう」運動を起こせるか。
  4. 安全安心で風味豊かな本来の美味しい牛乳は、飲用はもちろん料理のおいしさを引き立てます。また練乳、ヨーグルト、プリンやアイスクリーム、バターやチーズ作りも楽しめます。
  5. 子どもたちに地元の味や本物の食を教え、また、助け合う事の大事さを伝える。それも私たちの役目です。

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